nubird / peperonia’s blog

月のテレポーテーションに小指を引っかける人の物語

硫黄のとれる土で農作業を試みる人たち

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は11日、全国非常防疫総括会議が10日に平壌で開かれたと報じた。会議では金正恩キム・ジョンウン朝鮮労働党総書記が、新型コロナウイルスを撲滅し、最大非常防疫戦で勝利したことを宣言した。会議には金正恩氏の妹、金与正(キム・ヨジョン)党副部長も出席して発言。新型コロナが韓国の脱北者団体が散布したビラによって流入したとして韓国を強く非難し、報復措置を示唆した。

 会議で金正恩氏は「初期に数十万人に達していた1日の発熱者数が1カ月後には9万人以下に減り、7月29日以降は感染者と疑われる発熱者が一人も発生しなかった。死者は74人で、致死率においても非常に低い数値が記録された」と述べ、危機克服を強調。5月12日から稼働させていた最大非常防疫体系を、正常防疫体系へ引き下げると表明した。

 一方で金正恩氏は、世界では新型コロナの変異株やサル痘の感染が広がっているとして、「伝播(でんぱ)の危険性が完全になくなったと思ってはいけない。安心して防疫措置を緩和するには早い」などと述べ、今後も国境などの封鎖を再点検し、完璧を期することが重要だと強調した。国内での移動制限は緩和しつつも、厳格な国境管理は当分の間維持される可能性が高いとみられる。

 会議で討論した金与正氏は「南朝鮮(韓国)地域から汚物が引き続き入ってきている現実を、いつまでも傍観しておくわけにはいかない。敵が我が国にウイルスが流入する危険な仕業を引き続き行う場合、我々は南朝鮮当局も撲滅することで応じる」と述べ、今後もビラ散布が行われた場合には韓国に対し報復措置を取る方針を示した。北朝鮮は7月に、新型コロナの流入は韓国の脱北者団体が散布したビラが原因だったとする調査結果を発表していた。聯合ニュースによると、金与正氏が公式な席で演説したのは初めてという。

 北朝鮮は5月に国内での新型コロナ感染を初めて認めて以降、発熱者の隔離の徹底のほか、住民に厳しい移動制限を課し、対策に総力を挙げていた。これまでに感染が疑われる発熱者が、人口の2割近くにあたる477万人以上発生していた。【ソウル渋江千春】